角川文庫から発行されている服部まゆみさんが描かれた「この光と闇」を今更ながらですが読んでみました。
まだ読んでいない方は、あらすじの知識を入れずに読んだ方が最初から最後までのどんでん返しを楽しめるかもしれないのでご注意ください。
どうしても事前情報を入れたいんだ!と思っている方や、既に読まれた方はどうぞお進み下さい。
この闇と光のあらすじ
盲目の王女・レイアは、王である父と付き添いの侍女のダフネと3人で森の奥にある別荘で幽閉された生活を送っている。
国の国王だった父が忙しいため、侍女のダフネがわたしのお世話をしていたのだが、ダフネはわたしに対してとても厳しく、そして意地悪だ。
わたしはそんなダフネのことが大嫌い。
父は国の暴動を治めるため時折出掛けるのだが、独りきりだと実感してしまうと、涙が零れて止まらなくなる。
つい泣いてしまうと、ダフネはいつも「お黙り!殺してやる」とわたしを脅してくる。
そんな時はいつも父がわたしを優しく抱きしめ、宥めてくれた。
父はわたしのことを輝くように美しい…「光の娘」と呼んでいた。
父の愛と美しいドレスや花、朗読してもらった物語と音楽がレイアの世界の全てだった。
しかし、レイアが13歳になったある日、全てを奪われてしまった。
何が虚構で現実か。
予測不能な真実に惑わされるレイアの結末は……
クロ先輩
犯人は…(ネタバレ含む)
結論から言うと、犯人はお父様です。
レイアには「幼い頃事故で失明し母を亡くした」と伝えてましたが、実際は両親が事故を起こしてしまい、レイアは失明していました。
目を治す手術を行うため病院に滞在していたところをお父様がレイアを攫っていき、レイアを「女の子」として育てています。
また、前半部分ではレイアの父であり国の王だとされていますが、本当は日本在住の有名な画家です。
レイアの住む城にダフネや兵士、道に迷った者が現れていますが、これらは全てお父様が格好や声を変えていただけです。
作中で明かされていませんが、恐らくレイアの信頼を得たかったのではないでしょうか。
悪く言ってしまうとレイアの世界にはお父様自身しか信じれる人がいない、と洗脳していたのかもしれませんね。
ちなみにストーリー前半部分のいたる所に、後半に繋がる伏線が散りばめられています。
例えば、隠す必要がないにも関わらずダフネの手はいつも硬くてゴワゴワしている、やレイアに「生理がきた」と伝えるも生理用品を手渡さないところなどです。
クロ先輩
ストーリのその後
お父様であり誘拐犯であり、原口孝夫に会いに行った玲の「おとうさま……」の言葉で終わったこのストーリー。
その後の話は公開されていないので、完全にわたしの推測になります。
まず、ストーリー前半はレイアの過ごしていた世界だと思っていましたが、最後には今までのストーリーはレイアの作中作ということで、真実は読者に委ねられています。
今後の大木玲と原口孝夫の生き方としてわたし個人的には、大木玲として普段は過ごしながら、原口孝夫の家に訪ねた際は「レイア」として幸せな時間をお父様と過ごす、という闇と光の世界両方で生きていくのではないかと思います。
口コミ:「この闇と光を」のネット上の声
ツイッターでは下記のような口コミが投稿されています。
すべての世界が崩れゆく快感!!
という煽り文句の「快感」よりは
終始不快感の募る作品#この闇と光 #服部まゆみ #読了 #再読読んでる最中は「しんどい。もう読みたくねぇ」と思うのに、思ったのに、
読後、手放せず結果再読。厭になる程、美しくて残酷な「現実」と「現実」の物語。 pic.twitter.com/riCrjeDeHJ
— アイテ (@hanasi_ite_aite) December 6, 2020
197頁でやられた~!盲目の王女と一緒に、読み手も頭の中で想像する屋敷の雰囲気、取り巻く環境。すらすら読めました。答え合わせはちょっと物足りない感じ。でもそれがいいのかな。 #この闇と光 #服部まゆみ pic.twitter.com/VObBCTEcY0
— ゆめめ/銀さんの事ばっかり考えて生きる (@hir0shimakk0) December 24, 2019
盲目の王女レイアの視点から語られて始まる本作。見えていないからこその鋭い感性がありながらも、後半世界が一変。
見えていない言葉からの想像の世界が美しいが、見えてしまったら…
何が真実なのか曖昧なまま終わった気がしてちょっと物足りないけど、楽しめました!#服部まゆみ#この闇と光 pic.twitter.com/lFfZL5qYE3— myco*(。•ㅅ•。) (@myco_7net) June 29, 2019
服部まゆみ著『この闇と光』読了。幻想小説ならではの美しい世界観と大どんでん返しだった。少しモヤモヤが残るのも、いつかノスタルジックに感じられて僕好みだった。良い読書体験だ。#服部まゆみ #この闇と光 pic.twitter.com/j6KsT6z0kP
— 谷中卓/編集者 (@ttaninaka1106) April 29, 2019
感想と個人的な評価:この闇と光を読んでみて思ったこと
本の帯に「どんでん返し」と書かれていたので、物語を最大級に楽しみたいわたしは、あらすじ等の事前情報は一切入れず読みました。
大正解でした。
事前情報を少しでも入れたらストーリー前半から後半にかける、予測不能などんでん返しを最大に楽しめなかったと思います。
クロ先輩
わたしがこの闇と光のストーリーの中で一番印象に残っている言葉は「神の意思はランダム」というお父様の言葉です。
恐らくですが、ストーリー中の下記の文章に集約されているのではないかと思いました。
そして相手もそう考えるのだと。
善行を重ねても不幸になることもあり、悪行を重ねても幸せになることもある。
そして幸、不幸も主観に因るものだと……
「神の意思はランダム」という意味をレイアには戦争を例えとして上記の集約のように伝えていましたが、自身がレイアを誘拐したことについても語っているように受け取れます。
レイアを誘拐したことは、レイアの両親や世間から見るともちろん悪行・悪かもしれませんが、前半のお父様とお城で過ごした時間が事実であれば、レイアにとってとても幸せだったでしょう。
ただ最後までもやもやしていた点として、お父様はなぜレイアを誘拐したのか最後まで謎を明かされておりません。
また神について触れている部分が多かったので少し難しく感じました。
まめ太郎
個人的には前半のストーリー(お父様とお城で過ごした世界)から後半に繋がるどんでん返しが予測できなかったのでとても面白く読めました。
一度読んだだけでは気づきにくい伏線もあるので、一度目ではどんでん返しを楽しんで二度目ではどこに伏線があるのか、お父様の心情も察しながら読めるので二度美味しいですね。
「この闇と光」は文庫本ではもちろん、電子書籍があるのでkindleでも手軽に読むことができるのでまだ読んだことがない方も一度読んだ方もぜひ読んでみてください!
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